高度に結びついた機器を落雷から保護する為に参考にすべき基本情報を集め、まとめた私の見解です。
Home /規格と基準 /追加されたJIS試験(電源用)JIS C 5381-11(2014年版)ではSPDが故障するような条件での試験項目が追加されました。
これはSPDの劣化や性能以上の雷電流が侵入した時に、SPDが破損するだけでなく二次的な被害を発生させない事を確認することが目的と考えられます。SPDに流れる電流を徐々に増加させ劣化する状態をシミュレーションした試験やSPDの短絡が発生するような条件で試験し、外部又は内部分離器で回路保護ができるかを検証する試験項目が追加されています。
バリスタが劣化し徐々に漏れ電流が大きくなる様子をシミュレーションした試験
内部分離器が動作するまで損傷や発煙、発火が起きない事を確認します。
手順:1)SPDに2mA流れるよう電圧を調整します。SPDが熱平衡するまでこの状態を保持します。
2)さらに2mA多く流れるよう電圧を調整し、SPDが熱平衡するまでこの状態を保持します。
3)さらに2mA電流を増加させ、その都度熱平衡を確認し、内部分離器が動作するまで、このステップを繰り返します。
短絡状態になったSPDの状態(損傷や発煙、発火しないか)をシミュレーションします。Gap素子はそのままの状態で、バリスタ素子は銅ブロックで短絡し、内部分離器又は外部分離器が回路を遮断する事を確認します。
手順:1)推定短絡電流耐量試験(ISCCR):SPD自体で遮断できる最大短絡電流で試験し、回路保護ができる事を確認します。
2)小さい短絡電流での試験:外部分離器の定格の5倍の電流容量を持つ電源に5秒間接続し試験し、外部分離器が正しく作動し回路が保護できる事を確認します。
最大連続使用電圧の3倍の電圧をSPDにかけ、ダメ-ジを与えた状態にして、電流容量の異なる電源に接続し短絡が発生した場合、短絡電流ごとの状態を確認します。
1)最大連続電圧が440V以下の場合は、1,200V、440Vを超える電圧はその3倍の電圧を5秒間印加する。サンプルは3個準備します。(前処理電圧)
2)サンプル毎に電流容量100A, 500A, 1,000Aの電源を用いUref(試験電圧):通常最大連続電圧を5分間印加します。(前処理電圧と同時に切り替えるか、0.5秒間以内で重ねて印加する)
3)電源容量100Aの条件で漏れ電流しか確認できない場合は、最大連続電圧の3倍の電圧で故障しない事になり、そこで試験は終了します。
短絡電流が確認されれば、さらに電源容量大きな500A, 1,000Aの短絡回路電流ISCCRの条件で試験を行います。
本Web サイトで示すものは、落雷による機器の破壊を避ける為、機器保護の方法について私的な見解をまとめたものです。内容については最善をつくしましたが、考え違いや見落としがあった場合はご容赦下さい。
また本説明に基づき保護対策を行い、機器及びそれに関連する被害が発生した場合でも、一切の責任を負いませんので、雷保護対策は自己責任で設計し施工してください。